話し方Web講座 ③緊張

あがりをなくす 2

☆練習は本番のように、本番は ・・・

「練習は本番のように、本番は練習のように」という言葉があります。
この言葉は、次のような意味です。

練習は本番のつもりで、緊張感を持って取り組む。
緊張に慣れ、緊張感の中で力を発揮できるようにする。

本番は練習のつもりで、リラックスして、それまで何度も練習してきたことをする。

本番で力を発揮するために、このような心の持ち方が大事です。

☆軽いジャンプや肩回しで、緊張が

緊張を感じたら、力を抜いて軽くジャンプをする。
野球やサッカー、ボクシングなどのスポーツ選手がよくしています。
ジャンプをすると、緊張がほぐれ、落ち着いてきます。
そして、声も出しやすくなります。

また、両腕をぐるぐる回す肩回しも、肩甲骨周りが柔らかくなり、緊張をほぐすのに効果的です。
ノドの力も抜けて、声がよくなります。

運動すると、緊張を忘れていく

緊張に意識が集中すると、緊張します。
運動すると、緊張を忘れていき、気持ちが落ち着きます。
体からムダな力も抜けて、心も体もリラックスできるのです。
時間があれば、5分か10分走るという方法もあります。

☆スピーチ本番での緊張をほぐす方法

◦腹式の深呼吸と発声をすると、落ち着きます。
◦鏡の前で、笑顔をつくると、勇気がわいてきます。
◦あがったら「あがっています」と言ってしまうと、気分が楽になります。
◦汗が出ても、それは、一生懸命やっているからです。
◦しどろもどろになっても、熱意が伝わればいいのです。

☆本番で最も大切なのは、集中力

あがる人は、話に集中できていません。
集中とは、意識が1つに向いて、他が見えなくなる状態です。
話に集中すれば、緊張や失敗などを考えません。

話に集中すれば、緊張を忘れるだけでなく、自分の力を発揮できます。
本番で最も大切なのは、集中力です。

☆本番前に、力のポーズをとる

泣くと、悲しくなる。
笑うと、楽しくなる。
笑うフリでも、楽しくなる。

このように、体の動きが脳に影響を与えます。

自信のあるフリをすると、自信がわいてくる。

プレゼンや面接の前に、力のポーズをとる。
本番前にトイレなどで、仁王立ちのポーズをとりましょう。
すると、力がみなぎってきます。

男性が仁王立ちをしている

☆本番前のストレッチで、リラックス

スピーチやプレゼンの前に、全身のストレッチをしましょう。
ストレッチをすると、リラックスできます。
それは、筋肉が伸ばされることで、緊張が和らぐからです。
全身のストレッチで、緊張がほぐれ、声もよくなります。

☆本番前に、緊張で口が渇いたら

誰でも、人前で話すときは、多かれ少なかれ緊張します。
緊張すると、交感神経のスイッチが入り、唾液の分泌が抑制されます。
唾液が減るから、口の中が渇くのです。
これは、異常ではなく、自然な現象です。

口が渇いたときの対処法

自然な現象ですが、話しにくくなります。
そこで、緊張で口が渇いたときの対処法です。

水を一度にたくさん飲まず、口の中をこまめに潤すようにします。
冷たい水は、のどを冷やすので、声が出にくくなります。
常温の水にしましょう。

アメをなめるのも効果があります。
本番前に、のどアメをなめているアナウンサーもいます。
スピーチの前に、あがり症でノドが渇く人は、レモンのアメをなめてみましょう。
のどが渇きにくくなります。

☆スピーチ中に、真っ白になったら

スピーチ中に、話すことを忘れて、頭が真っ白になることがあります。
そこで、大事なのは「切り抜け方」と「笑顔になること」です。

まず、切り抜け方を二つ。

真っ白になった状態を話そう

客観的に自分を見て、今の状態を話します。
話しているうちに、落ち着きを取り戻せるものです。

「今、頭の中が真っ白になりました。忘れましたねー。うーん、何でしたかー、困りましたー。どうしたら、いいんでしょうねー、~ 」

話しながら、真っ白になるまでを振り返ろう

話しながら、真っ白になるまでを振り返ります。
振り返っていると、思い出すことがよくあります。

「今、頭の中が真っ白です。ちょっと待ってください。えー、ここまで、これこれを話しましたね。 それでー、そうですねー、あっ、そうそう、~ 」

切り抜け方と、もう一つは 笑顔です。

真っ白になったときは、笑顔になろう

真っ白になるのは、誰にでもあります。
そのときは、笑顔になりましょう。
真っ白になったときに、真剣な顔はいけません。
真剣な顔で黙ってしまうと、つらい空気になります。

笑顔で話すと、聞くほうも安心できます。
明るく話すと、親しみがわいて、好感を持たれます。

☆人前で、こんな動作をすると落ち着く

人前に出たとき、話す前に、こんな動作をすると落ち着きます。

①マイクをスタンドから外して、手に持つ。
②時計を外し、時間をちょっと見てから、机の上に置く。

このような動作で間をとると、気持ちが落ち着きます。
聞き手にも、落ち着きと自信がある印象を与えることができます。

☆コントロールできることだけに集中

エピクテトスの教え

エピクテトスは、古代ローマの哲学者です。
(西暦50年ごろー135年ごろ)

エピクテトスの教え
「自分がコントロールできないものは軽視せよ。自分がコントロールできる事象にのみ注力せよ」

自分がコントロールできることとコントロールできないことに分けます。
変えられないものをスルーして、変えられるものだけに力を注ぎましょう。

次の言葉が参考になります。

松井秀喜選手の言葉

ヤンキース入団直後の不振を取り上げた記事について
「気になりません。記者が書くことは僕にはコントロールできません。コントロールできないことには関心を持ちません」

イチロー選手の言葉

首位打者争いのライバル打者について
「相手の打率は僕にはコントロールできません。意識することはありません」

自分がコントロールできないこと → スルー
自分がコントロールできること  → 集中

スピーチなら、内容を伝えることに集中

あがりの原因は、潜在意識にあります。
だから、いくら あがらないようにと頭で考えても、あがりをコントロールできません。
コントロールできないことは、スルーします。

変えられないことではなく、変えられることに集中する。
自分ではどうにもならないことで悩むのは、時間の無駄です。
スピーチなら、あがりのことはスルーして、内容を伝えることに集中するのです。

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