あがりをなくす 1
目次
☆話す場を何度も持つと、脳は慣れていく
脳の「慣れる力」を軽く見ない
脳は、状況や環境に慣れやすいです。
人と長い間話さないでいると、脳はそれが当たり前になってしまいます。
逆に、話す場を何度も持つと、それにも脳は慣れていきます。
緊張して言葉が出なくなる人も、声に出して話す場を重ねることが必要なのです。
1人での練習と、3人の前でもいいから実戦するのとでは、まったく違います。
話す場を何度も持つこと。
脳の「慣れる力」を軽く見てはいけません。

☆あがりを受け入れよう
「あがってはいけない」「あがらないように」と、あがりを何とかしようと思うほど、あがりに意識が集中して、ますますあがります。
あがりをなくすのではなく、「私はあがっている」と素直に認め、受け入れましょう。
「あがったままでいい」と受け入れると、あがりを相手にしないで、話すことにエネルギーを集中できます。
☆スピーチや面接を前にドキドキしたら
自律神経は、「交感神経」と「副交感神経」の2種類に分けられます。
自律神経と呼吸は、密接な関係です。
吸う → 交感神経を刺激する
心拍が速くなる (興奮する 緊張する)
吐く → 副交感神経を刺激する
心拍が遅くなる (リラックスする)

スピーチや面接を前にドキドキしたら、次の腹式呼吸をしましょう。
吐く時間を長くすると、副交感神経が刺激され、気持ちが落ち着いていきます。
①お腹をへこませながら、口から少しずつ息を吐く。 |
②お腹をふくらませて、鼻から息を吸う。 |
③吸ったときの2~3倍の時間をかけて、口から少しずつ息を吐く。 |
④これをくり返すと、気持ちが落ち着いていく。 |
・慣れてきたら、できるだけ長く息を吐く。
・吐くときは、口からでも鼻からでもよい。
・吸うときは、鼻からのほうがたくさん吸えるから、鼻から吸う。
息を長く吐くには
口にストローをくわえて、息を吐きます。
今度はストローは使わずに、同じ口の形で、息を吐きます。
このように口を軽くすぼめると、細く長く息を吐けるのです。
この呼吸で、寝つきもよくなる
寝る前にこの腹式呼吸をすると、寝つきもよくなります。
ふとんの中でこの呼吸をし、副交感神経を優位にして眠りにつくのが、おすすめです。
☆改まった話し方でするから、緊張する
人前の話が下手な人は、改まった話し方でスピーチします。
ふだんとは違うので、緊張してしまう。
慣れていないことをするから、うまくいきません。
◦ふだんの言葉で話そう くだけた言葉や話し方はいけませんが、ふだんの言葉で話すと、スピーチがラクになります。 |
◦大勢の前でも、1対1で話しているつもりで話そう 大勢に話すのではなく、1人に話します。 相手が1人なら、ふだんの話し方ができます。 そのほうが、いいスピーチができるのです。 |
☆早口をなおすには
早口になる原因は、いろいろ
・緊張で、呼吸が早くなるから。 |
・聞き手の反応を確かめずに、話すから。 |
・頭の回転が速いから。 |
・せっかちな性格だから。 |
緊張が原因の早口は
緊張すると、呼吸が早くなります。
早くなった呼吸のまま、話すので、早口になります。
吸う息も、吐く息も短くなります。
間もとれません。
呼吸をゆっくりさせる練習をしましょう。
腹式呼吸による、ゆっくりした呼吸を体に覚えこませます。
☆笑顔で話すと、あがりを抑えられる
頬骨の少し下に、脳波を変えるツボがあります。
笑顔をつくると、そのツボを刺激し、脳波がリラックス状態のアルファ波に変わるのです。
つくり笑顔でも、効果は同じ
つくり笑顔でも、本当の笑顔と同じように、リラックス効果が生まれます。
スピーチするとき、笑顔で話してみましょう。
笑顔をつくるだけで、あがりを抑えられます。
☆一点をじっと見ると、緊張する
ボールペンなどを持って、ペン先をじっと見てください。
呼吸を止めていませんか?
一点を見つめると、呼吸が止まり、体が固くなります。
視野を広げるとリラックスする
ペン先をぼんやり見ると、呼吸ができるようになります。
視野を広げるとリラックスするのです。
スピーチするときも、台本の文字や床の一点をじっと見ると、緊張します。
視野を狭くしすぎないことが、大切です。
☆あがりをなくすための気持ちの持ち方
◦人に見られるのは、恥ずかしいことではありません。 |
◦聞き手は、あなたやあなたのスピーチに、あなたが思うほど、関心を持っていません。 |
◦どのくらいあがっているかは、聞き手にはわかりません。 |
◦完全主義にならないで、80点なら合格にすること。 |
◦ときには「ダメでもともと」「失敗したっていいや」などと開き直りましょう。 |
☆内容を伝えることに意識を集中する
あがり症の人は、話す内容よりも、緊張に意識を集中します。
ドキドキする、足がガクガク、声が震える、真っ白になりそう。
こんなことばかり考えています。
緊張ではなく、内容を伝えることに意識を集中する。
これが大切です。
☆「見られる」から「自分が見ている」に
「見られる」意識が強いと、緊張します。
聞き手を見ないのも「見られる」意識が高まります。
「見られる」から「自分が見ている」に変えましょう。
あがりを忘れている話し方をしよう
意識を外向きにして、伝えることに集中する。
夢中で話し、あがりを忘れている話し方をするのです。
失敗してもいいところで、何度も練習です。

☆緊張感があるから、いいスピーチが
スピーチが上手な人は、あがっていないように見えます。
しかし、適度に緊張しています。
緊張感があるから、いいスピーチができるのです。
緊張と友達になろう
「緊張感がなくなったから」と、現役を引退した選手もいます。
緊張感がないのは、燃えていないということです。
適度な緊張は、力を発揮するためのエネルギー。
「気合が入っている」という最高の状態です。
適度な緊張感は必要なのです。
緊張と友達になりましょう。
☆吸うときに緊張、吐くときにリラックス
息を吸うときに、緊張します。
驚いたときは、「ハッ」と息を吸い込む。
「ハッ」と息を吐いて驚く人は、見たことがありません。
ホッとするときは、「フーーー」と息を吐く。
「フーーー」と息を吸いながら、ホッとする人はいません。
息を吸うときに緊張し、吐くときにリラックスするのです。
リラックスしたいときは、長く息を吐きましょう。
☆根本的にあがりをなくすには
あがりには、いろいろな対処法があります。
◦首、肩などを、ぐるぐる回したりして、緊張をとる。 |
◦軽くジャンプして、重心を下げる。 |
◦腹式呼吸で、深呼吸をする。 |
◦表情を変えて、気分を変える。 |
◦プラスの言葉を唱える。 |
◦好きな音楽を聞いて、いい気分にする。 |
◦意識を外へ向ける。 |
◦イメージトレーニングをする。 |
◦「もっと緊張しろ!」 と逆説志向をする。 |
◦「緊張しています」 と言ってしまう。 |
などがあります。
根本的に、あがりをなくしていくには、次の3つが重要です。
①場数をふむ。 場数をふんで、慣れていくことも大切です。 しかし、場数をふんで自信をつけても、話す力がついていなければ、自信は簡単にくずれます。 |
②話す力をつける。 腹式呼吸と、それによる発声を含めて、話す力をつけていきます。 |
③話す力がついていることを、自分自身で確認する。 自信がないから、あがるのです。 話す力がついてきているのに、あがる人がいます。 それは、自信を持っていないからです。 自分の話す姿を見て、「うまくなっている」 「なかなか、やる」 と自分自身で確認できれば、自信がついていきます。 場数をふみ、話す力をつけ、自分自身で確認する。 そうすれば、自信がつき、あがりません。 (生徒さんの声の 「あがり症で、人前が苦手」 をご覧ください) |