話し方Web講座 ③緊張

あがりをなくす 1

☆話す場を何度も持つと、脳は慣れていく

脳の「慣れる力」を軽く見ない

脳は、状況や環境に慣れやすいです。
人と長い間話さないでいると、脳はそれが当たり前になってしまいます。
逆に、話す場を何度も持つと、それにも脳は慣れていきます。

緊張して言葉が出なくなる人も、声に出して話す場を重ねることが必要なのです。

1人での練習と、3人の前でもいいから実戦するのとでは、まったく違います。
話す場を何度も持つこと。
脳の「慣れる力」を軽く見てはいけません。

男性が3人の前でスピーチしている

☆あがりを受け入れよう

「あがってはいけない」「あがらないように」と、あがりを何とかしようと思うほど、あがりに意識が集中して、ますますあがります。
あがりをなくすのではなく、「私はあがっている」と素直に認め、受け入れましょう。
「あがったままでいい」と受け入れると、あがりを相手にしないで、話すことにエネルギーを集中できます。

☆スピーチや面接を前にドキドキしたら

自律神経は、「交感神経」と「副交感神経」の2種類に分けられます。
自律神経と呼吸は、密接な関係です。

吸う → 交感神経を刺激する
    心拍が速くなる (興奮する 緊張する)
吐く → 副交感神経を刺激する
    心拍が遅くなる (リラックスする)

あがっている女性

スピーチや面接を前にドキドキしたら、次の腹式呼吸をしましょう。
吐く時間を長くすると、副交感神経が刺激され、気持ちが落ち着いていきます。

①お腹をへこませながら、口から少しずつ息を吐く。
②お腹をふくらませて、鼻から息を吸う。
③吸ったときの2~3倍の時間をかけて、口から少しずつ息を吐く。
④これをくり返すと、気持ちが落ち着いていく。

・慣れてきたら、できるだけ長く息を吐く。
・吐くときは、口からでも鼻からでもよい。
・吸うときは、鼻からのほうがたくさん吸えるから、鼻から吸う。

息を長く吐くには

口にストローをくわえて、息を吐きます。
今度はストローは使わずに、同じ口の形で、息を吐きます。
このように口を軽くすぼめると、細く長く息を吐けるのです。

この呼吸で、寝つきもよくなる

寝る前にこの腹式呼吸をすると、寝つきもよくなります。
ふとんの中でこの呼吸をし、副交感神経を優位にして眠りにつくのが、おすすめです。

☆改まった話し方でするから、緊張する

人前の話が下手な人は、改まった話し方でスピーチします。
ふだんとは違うので、緊張してしまう。
慣れていないことをするから、うまくいきません。

◦ふだんの言葉で話そう
 くだけた言葉や話し方はいけませんが、ふだんの言葉で話すと、スピーチがラクになります。
◦大勢の前でも、1対1で話しているつもりで話そう
 大勢に話すのではなく、1人に話します。
 相手が1人なら、ふだんの話し方ができます。
 そのほうが、いいスピーチができるのです。

☆早口をなおすには

早口になる原因は、いろいろ

・緊張で、呼吸が早くなるから。
・聞き手の反応を確かめずに、話すから。
・頭の回転が速いから。
・せっかちな性格だから。

緊張が原因の早口は

緊張すると、呼吸が早くなります。
早くなった呼吸のまま、話すので、早口になります。
吸う息も、吐く息も短くなります。
間もとれません。

呼吸をゆっくりさせる練習をしましょう。
腹式呼吸による、ゆっくりした呼吸を体に覚えこませます。

☆笑顔で話すと、あがりを抑えられる

頬骨の少し下に、脳波を変えるツボがあります。
笑顔をつくると、そのツボを刺激し、脳波がリラックス状態のアルファ波に変わるのです。

つくり笑顔でも、効果は同じ

つくり笑顔でも、本当の笑顔と同じように、リラックス効果が生まれます。

スピーチするとき、笑顔で話してみましょう。
笑顔をつくるだけで、あがりを抑えられます。

☆一点をじっと見ると、緊張する

ボールペンなどを持って、ペン先をじっと見てください。
呼吸を止めていませんか?
一点を見つめると、呼吸が止まり、体が固くなります。

視野を広げるとリラックスする

ペン先をぼんやり見ると、呼吸ができるようになります。
視野を広げるとリラックスするのです。

スピーチするときも、台本の文字や床の一点をじっと見ると、緊張します。
視野を狭くしすぎないことが、大切です。

☆あがりをなくすための気持ちの持ち方

◦人に見られるのは、恥ずかしいことではありません。
◦聞き手は、あなたやあなたのスピーチに、あなたが思うほど、関心を持っていません。
◦どのくらいあがっているかは、聞き手にはわかりません。
◦完全主義にならないで、80点なら合格にすること。
◦ときには「ダメでもともと」「失敗したっていいや」などと開き直りましょう。

☆内容を伝えることに意識を集中する

あがり症の人は、話す内容よりも、緊張に意識を集中します。
ドキドキする、足がガクガク、声が震える、真っ白になりそう。
こんなことばかり考えています。

緊張ではなく、内容を伝えることに意識を集中する。
これが大切です。

☆「見られる」から「自分が見ている」に

「見られる」意識が強いと、緊張します。
聞き手を見ないのも「見られる」意識が高まります。
「見られる」から「自分が見ている」に変えましょう。

あがりを忘れている話し方をしよう

意識を外向きにして、伝えることに集中する。
夢中で話し、あがりを忘れている話し方をするのです。
失敗してもいいところで、何度も練習です。

人前でスピーチする男性

☆緊張感があるから、いいスピーチが

スピーチが上手な人は、あがっていないように見えます。
しかし、適度に緊張しています。
緊張感があるから、いいスピーチができるのです。

緊張と友達になろう

「緊張感がなくなったから」と、現役を引退した選手もいます。
緊張感がないのは、燃えていないということです。
適度な緊張は、力を発揮するためのエネルギー。
「気合が入っている」という最高の状態です。

適度な緊張感は必要なのです。
緊張と友達になりましょう。

☆吸うときに緊張、吐くときにリラックス

息を吸うときに、緊張します。
驚いたときは、「ハッ」と息を吸い込む。
「ハッ」と息を吐いて驚く人は、見たことがありません。

ホッとするときは、「フーーー」と息を吐く。
「フーーー」と息を吸いながら、ホッとする人はいません。

息を吸うときに緊張し、吐くときにリラックスするのです。
リラックスしたいときは、長く息を吐きましょう。

☆根本的にあがりをなくすには

あがりには、いろいろな対処法があります。

◦首、肩などを、ぐるぐる回したりして、緊張をとる。
◦軽くジャンプして、重心を下げる。
◦腹式呼吸で、深呼吸をする。
◦表情を変えて、気分を変える。
◦プラスの言葉を唱える。
◦好きな音楽を聞いて、いい気分にする。
◦意識を外へ向ける。
◦イメージトレーニングをする。
◦「もっと緊張しろ!」 と逆説志向をする。
◦「緊張しています」 と言ってしまう。

 などがあります。

根本的に、あがりをなくしていくには、次の3つが重要です。

①場数をふむ。
 場数をふんで、慣れていくことも大切です。
 しかし、場数をふんで自信をつけても、話す力がついていなければ、自信は簡単にくずれます。
②話す力をつける。
 腹式呼吸と、それによる発声を含めて、話す力をつけていきます。
③話す力がついていることを、自分自身で確認する。
 自信がないから、あがるのです。
 話す力がついてきているのに、あがる人がいます。
 それは、自信を持っていないからです。
 自分の話す姿を見て、「うまくなっている」 「なかなか、やる」 と自分自身で確認できれば、自信がついていきます。
 場数をふみ、話す力をつけ、自分自身で確認する。
 そうすれば、自信がつき、あがりません。
 (生徒さんの声の 「あがり症で、人前が苦手」 をご覧ください)

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