腹式呼吸と発声
目次
☆腹式呼吸と発声の練習方法
イスに座って、背筋を伸ばし、お腹に手を当てます。
①口から息を吐きながら、お腹をへこませる。
②今度は、鼻から息を吸いながら、お腹をふくらませる。
(おへその下に空気を入れるつもりで)
これをくり返します。
腹式呼吸は、「ゆっくり吐く」が大切です。
次に、できるようになったら、「あー」と声を出してみましょう。
発声は、ノドや肩に力が入っていると、ノドが痛くなります。
お腹の中に空気と声がある。
お腹をへこませることによって、その空気と声が管を通って口から流れ出るというイメージで、練習しましょう。
腹式呼吸がうまくできないときは
仰向けに寝転んで、練習しましょう。
腹式呼吸をやりやすいのが、仰向けです。
それに、ひざを立てると、よりやりやすいです。
お腹に手を当てると、お腹が上下するのがわかります。
感じがつかめたら、先ほどのイスに座っての練習をしましょう。
次は、ロングトーン
ひと息で声を長く出すのが、ロングトーンです。
息を出し切るまで、一定の量で息を吐きながら、「あーーーーーーー」と発声します。
秒数が長くなると、声が楽に出るようになります。
初級 10~15秒
中級 25~40秒
上級 45~ 秒
☆肩を上げずに息を吸うと、腹式呼吸に
基本の腹式呼吸
お腹をへこませながら息を吐き、お腹をふくらませながら息を吸う。
他にも
◦下腹はふくらんだままの腹式呼吸
◦腰上に息を入れるつもりで吸い、ふくらみを維持する腹式呼吸
◦下腹を締めたり、ゆるめたりする腹式呼吸
◦体を引き上げ、沈み込む腹式呼吸
など、いろいろな腹式呼吸があります。
基本の腹式呼吸ができれば、他もできるようになります。
基本の腹式呼吸のイメージをつかむために
基本の腹式呼吸は、息を吸うときに、肩を上げないこと。
肩が上がるような吸い方をしないように。
肩が上がらないようにすると、腹式呼吸のイメージをつかみやすくなります。
肩の高さを変えずに息を吸うと、お腹がふくらみ、腹式呼吸になっていくのです。
☆壁を押すと、お腹の力の入れ具合が
①壁に両手をつき、上半身の力を抜いて、壁を軽く押す。 (両手は、胸の高さか少し下につく。片足を前にする) |
②すると、お腹に力が入って、おへその下がへこむ。 (おへその上は、それほど力が入らない) |
③今度は、壁を押しながら、お腹から「あーーーーー」と声を出す。 おへその下をさらにへこませていく。 |
腹式呼吸で声を出すときの、お腹の力の入れ具合がわかります。
☆仰向けになって発声すると、いい声が
体で共鳴しないと、いい声が出ません。
体に力が入っていると、うまく共鳴しないのです。
いい声を出すには、体の力を抜くこと。
それには、仰向けになります。
体の力が抜けて、のども開き、いい声が出ます。
とくに、フローリングなら、声が響くのがよくわかります。
次に、立って、同じように発声しましょう。
☆声をよくするのは、数か月という時間で
声帯は、とても繊細です。
一度に長い時間、発声練習をすると、声帯を痛めます。
ひどくなると、声帯が靴ずれのようになることがあります。
こまめに休憩を入れましょう。
声をよくするのは、1日や1週間ではなく、数か月という時間で行いましょう。
☆腹式呼吸による発声の効果
○声がよくなる。 説得力があがる。 |
○声が枯れにくくなる。 |
○あがりにくくなる。 声がふるえなくなる。 |
○ストレスを発散する。 |
声は、生まれつきではありません。
いくつからでも、発声練習をすれば、必ずよくなります。
1日3分でも、OKです。
3か月、半年、1年後の録音を比べると、声が変わっていくのがはっきりわかります。
また、発声練習は、教室でするだけという生徒さんもいますが、1週間に1回(10分)でも少しずつよくなっています。
発声練習をすると、ストレスの解消にも
最近、大きな声を出したことがありますか?
お腹の底から声を出したことがありますか?
教室で、気持ちよく声を出して発声練習をすると、声がよくなるだけでなく、ストレスの解消にもなります。
ときどき大きな声を出して、スッキリしましょう。
☆「腹式呼吸になっているか」をチェック
腹式呼吸になっていないのは
・肩が上下する。 基本の腹式呼吸は、肩が上下しません。 |
・おへその下は動かず、お腹の上のほうが動く。 腹式呼吸は、おへその下がへこんだり、ふくらんだりします。 |
・息を吐いた後、吸わないとなかなか空気が入ってこない。 腹式呼吸は、息を吐いた後、吸わなくても、勝手に空気が入ってきます。 |
☆息を吐けば、勝手に空気が入ってくる
横隔膜は、最初のうちは、思うほど動きません。
腹式呼吸を四つん這いでしてみる
そこで、横隔膜があまり動かないときは、腹式呼吸を四つん這いでしてみましょう。
息を吐きながらお腹をへこませてから、ゆるめると、内臓が下に落ちて、自然と空気が入ります。
横隔膜が動くようになると、意識的に吸わなくても、このように勝手に空気が入るのです。
☆大声を出せない場所での発声練習は?
発声練習は、コツコツと続けることが大切です。
サボると、声はおとろえます。
発声練習をしたいけれど、マンションで大きい声を出せないという人もいます。
そこで、大きい声を出せないところでの方法です。
声を小さくするグッズも売られていますが、ここではバスタオルを使います。
タオルを使った発声
バスタオルを8つ折りか16折りにします。
そして、口に軽くあてて発声すると、かなり防音してくれます。
タオルを使った発声は、慣れるとなかなかいいです。
☆舌の先を上げると、ノドが開く
いい声を出すためには、「ノドを開ける」が基本です。
それには、舌根(舌の付け根)を下げなければいけません。
しかし、無理に下げようとすると、舌に力が入ってしまいます。
力を抜いて、舌根を下げるのです。
力を抜いて、舌根を下げるには、舌の先を少し上げます。
英語の「R」の発音に似ています。
つまり、舌の先を少し上げると、簡単に舌根が下がり、ノドが開くのです。
☆肩甲骨周りのストレッチで、いい声が
緊張で体が硬くなったり、首や肩がこっていると、のどに力を入れて声を出しがちです。
こんなときは、肩甲骨周りをストレッチしましょう。
ストレッチでほぐすと、いい声が出るようになります。
方法
①肩甲骨を外側に開く、内側に寄せる
②両腕を肩からぐるぐる回す
☆食後すぐは、声が出にくい
プロの歌手でも、直前に食べると歌いにくくなります。
食後すぐは、横隔膜や唾液が原因で、声が出にくいのです。
大事なスピーチやプレゼン、面接のときも、食後から1~2時間はあけましょう。
☆のどの老化は、誤嚥性肺炎を招く
肺炎による死亡が増えている
現在、日本人の死因は、がんや心臓疾患に次いで、肺炎が3位です。
そのほとんどが、誤嚥性肺炎です。
誤嚥性肺炎は、食べ物や飲み物が、食道ではなく、気管に入ることで起こります。
加齢から、口や舌、のどの筋肉がおとろえて、飲み込む力が弱くなっているのです。
あなたの のど年齢は?
水を少し含んで、口の中を湿らせます。
人差し指をのど仏の少し上に当てます。
それで、30秒間に何回唾液を飲み込めるか。
5回以下だと、誤嚥性肺炎の発症リスクが高くなるそうです。
8回 のど年齢 40代
7回 のど年齢 50代
6回 のど年齢 60代
5回 のど年齢 70代
4回以下 のど年齢 80代以上
健康年齢を伸ばす「発声のトレーニング」
声やのどの老化
◦声がしゃがれる |
◦聞き返される |
◦むせたり、せき込む |
◦飲み込みにくい |
のどの老化は、誤嚥性肺炎を招く可能性が出てきます。
この筋肉は、40〜50代から徐々におとろえるそうですが、呼吸と発声のトレーニングで鍛えることができます。
☆運動不足になると、声にも影響する
運動不足になると、呼吸に使う筋肉もおとろえます。
呼吸に使う筋肉がおとろえると、声にも影響します。
病気などで、しばらく運動をしていないと、声にパワーがなくなるのです。
いい声を出すには、しっかり息を流すこと。
呼吸に使う筋肉を維持するには、定期的な運動が必要です。
インナーマッスルも鍛えよう
それと、呼吸のためには、インナーマッスルも鍛えましょう。
インナーマッスルは、呼吸でしか、鍛えることができません。
呼吸のトレーニングで、呼吸に使う筋肉を維持するのです。