話術を習得するには
目次
☆頭でわかっても、体はすぐにはできない
スポーツの技術は、頭でわかっても、体はすぐにはできません。
話す技術(話術)も、知識だけでは、できるようになりません。
「知る」 「わかる」 ≠ 「できる」
(知識を得る) (技術を身につける)
頭で理解しただけで、できたつもりになってはいけません。
頭で理解するだけでは、無意識に刻まれないのです。
(例)
スマホを見れば、自転車の乗り方がわかる。
しかし、それだけでは、実際に乗ることはできない。
技術の習得には、ある程度の練習量が必要
試験の勉強 ⇒ 一夜漬けができる
技術の習得 ⇒ 一夜漬けができない
スポーツも話し方も、技術を身につけるには、反復練習。
それも、ある程度の練習量が必要です。
☆脳は、1度に1つしか考えられない
スピーチでは、やらなければいけないことがたくさんあります。
話す言葉を考える、声を届かせる、言葉をはっきり話す、大事な言葉を立てる、聞き手の反応を見る、時間におさめるなど、たくさんあります。
ところが、脳は 1度に1つのことしか考えられません。
スピーチでできるようにするには?
練習をくり返して、体で覚えること。
自転車のように、体が覚えるまで、くり返しの練習をするのです。
☆場数を踏むと、トラブルに対応できる
場数を踏むと、話すことを忘れても、適当にしゃべって、対応できるようになります。
他のトラブルがあっても、あわてず冷静に切り抜けることができます。
場数がすべてではありませんが、場数は大事です。
☆場の「空気」は、聞き手によって変わる
スピーチでの場の「空気」は、その時その時で変わります。
聞き手によって変わるのです。
「空気」を読むのも、場数が大事
場数を踏むと、場の「空気」に対応できるようになります。
聞き手とのキャッチボールは、スピーチすることで学んでいくのです。
☆自分に合う笑わせ方がわかると
スピーチに、笑いはあったほうがいいです。
ただ、笑わせ方は、自分に合うものと合わないものがあります。
場数を踏んでいると、こんな話やこんな話し方をすると、笑いが起きるということがわかってきます。
自分に合う笑わせ方がわかると、笑いをとりにいけるのです。
☆上達は、あるとき、突然やってくる
上達は、坂道を一直線にのぼるようにはいきません。
一直線ではなく、階段状です。
踊り場もあります。
話し方の上達も同じ
①練習しただけ、上達が感じられる時期
②練習しても、上達が感じられない時期
上達は、①と②がくり返されます。
練習しても、上達が表に出ないときもあります。
表に出なくても、上達しているのです。
②は、次のステップに上がるための準備期間。
上達が見えなくても、そのうち見えるときがきます。
上達は、あるとき、突然です。
練習しても、うまくならないからといって、簡単にあきらめないように。
努力は、〇〇してこそ意味がある
努力は、継続してこそ意味がある。
継続できることも、ひとつの才能です。
☆話術は、体で覚える記憶
記憶は、2種類ある
頭で覚える記憶
(一般的に「記憶」と呼ばれる)
○内容を言葉で表現できる。 |
○頭だけで覚えられ、一度でも覚えられる。 |
○一度覚えても、かなり忘れる。 |
体で覚える記憶
○内容を言葉で表現するのがむずかしい。 スポーツ、自転車、演奏など、体が感覚的に覚える記憶です。 |
○体で覚えるには、くり返しの練習が必要。 |
○少しずつではなく、ある日突然、できるようになる。 |
○一度しっかり覚えると、なかなか忘れない。 40年ぶりの自転車でも乗ることができます。 |
このように、記憶は2種類あります。
話す技術は、体で覚える記憶のほうです。
☆失敗をくり返すうちに体が覚える
自転車なら、初めは頭で乗りこなそうとして、失敗ばかりです。
何度も失敗をくり返すうちに、体が覚えて、何も考えなくても乗れるようになります。
体が覚えるとできる
話すのも同じ。
いくつもの話す技術を、同時に頭でするのはむずかしいです。
しかし、体が覚えるとできます。
自転車のように、体が覚えるまでくり返しましょう。
☆頭の中で話すのでも、体は話術を覚える
「体で覚える」は、「小脳が記憶する」とわかってきたそうです。
何も考えずにできるのは、小脳が覚えているからです。
漢字を何回も書くと、手が覚えて、勝手に手が動きます。
小脳が、あるいは、大脳と協力してやっているようです。
イメージするだけでも、小脳が非常に活動するそうです。
頭の中で話すイメージトレーニングでも、体は話術を覚えるのです。
☆技術はくり返すことで、道筋ができる
技術はくり返すことで、脳の中に、脳からの指令を伝える道筋ができていく。
道筋が通ったときに、突然できるようになるのです。
あるとき、急に補助輪なしで自転車に乗れるようになるのも、そうです。
定着すると、簡単には忘れない
さらに、技術はくり返すと定着する。
定着すると、簡単には忘れません。
自転車の乗り方を忘れようと思っても、忘れることはできません。
体力や年齢の話は別にして、乗れなくなることはないのです。
☆意識してできるのは、ゴールではない
技術の習得には、できるまで 意識して練習をくり返します。
ただ、できるようになっても、意識してできるのはゴールではありません。
無意識に近いレベルでできて初めて、自分のものになるのです。
☆人前で できて、初めて「できる」
スピーチは、1人の練習で できていても、人前の緊張感の中で できなければ、本物ではありません。
緊張感のあるところで力を発揮できて、初めて「できる」です。
そのためには、3人の前でもいいから、実戦をすることが大事です。